臼杵焼のアトリエ体験にお越しいただき、ありがとうございました!
みなさんが心を込めて作った器は、これから約1か月かけてじっくり焼き上げられて完成します。
この記事では、その工程を写真とともに紹介しながら、「いま自分の器がどうなっているのか」を想像できるように説明していきます。
※連休を挟む場合や、窯の混雑状況によっては工程に変更がある場合があります。
1. つくる
器を作り終えた直後の状態です。まだ粘土が柔らかく、触れると形が変わるほどデリケートなため、この段階では特に慎重に扱います。まずは天候や温度、湿度を気にかけながらそのまま自然乾燥させていきます。
2. 裏面の写真を撮る
少し乾いてお皿を裏返しに出来るようになったら裏返してみなさんのサインがちゃんと識別出来るか、作品カードと照らし合わせながらチェックします。作った器の裏側も大切なポイントですし焼き上がった作品が無事届くかの重要な手掛かりです。そのため、裏面はしっかり写真に収めて記録します。
3. 半乾きでバリを削る
作ってから1日ほどムロの中で湿度管理しながら乾燥させると、粘土の表面が少し硬くなり始めます。このタイミングで、器の縁にできた余分な部分(バリ)をナイフなどで削り取り、器の輪郭のをきれいに整えます。半乾きのうちに丁寧にバリを取ることで、仕上がりが美しくなります。
4. 乾燥させる(1週間経過)
削り作業が終わったら、更にゆっくり時間をかけて完全に乾燥させます。粘土中の水分をじっくり十分に飛ばすことで、後の焼成でヒビや割れが生じるリスクを減らします。この工程を焦って省略すると、焼くときに割れたり大きく歪んでしまったりするともあるため、時間をかけてしっかりと乾くのを待ちます。
5. 素焼き
十分乾燥した器を窯に入れ、約900°の温度で素焼き(一次焼成)します。素焼きを行うことで粘土が硬くなり、器が丈夫になります。この時点で器はまだ無釉の素地ですが、後の釉薬掛けに耐えられる状態になります。
6. 窯出し(素焼き後)
素焼きが終わった器を窯から取り出します。素焼きを経た器の色は薄い桃色の様なサラサラとした質感です。この段階で一度、ヒビが入っていないかなどを簡単に確認します。
7. 釉薬掛け
素焼きした器に釉薬(うわぐすり)を掛けます。写真は皿を釉薬の入った容器に浸している様子です。釉薬は液状のガラス質で、器に掛けて乾かした後、本焼きの高温で溶けて定着します。この工程により、あの美しい臼杵焼ならではのまっとな質感の白い器の色が生まれます。
8. 窯詰め
釉薬を掛けた器を、本焼き用の窯に並べていきます。 焼成中に器同士や窯の壁と触れ合わないよう、棚板や支え棒を使って慎重に配置します。窯の中での配置バランスや間隔は、焼き上がりに大きく影響するため、職人が経験を生かして最適な配置を考えます。
9. 本焼き(2週間経過)
いよいよ最終の焼成です。本焼きでは約1265°Cもの高温でじっくりと焼き上げます。窯の中で釉薬が溶け、粘土としっかり融合してガラスのような表面になります。高温で長時間焼成することで器の強度も増し、陶器として完成に近づきます。
10. 窯出し(本焼き後)
焼き上がった器を窯から取り出します。窯を開ける瞬間は毎回ドキドキ…!高温で焼かれた器はゆっくり24時間冷ましたあとでもまだ熱いので、手袋をはめて慎重に取り出します。どんな発色や風合いになっているのか、この時点で初めて完成品の姿がわかります。
11. 底擦り
焼成が完了した作品は、底の部分にざらつきが残っています。そのままだとテーブルなどを傷つける恐れがあるため、器の底を砥石ややすりで磨いて滑らかに仕上げます。丁寧に底を擦ることで、手触り良く安心して使える器になります。
12. 検品
完成した作品に割れや欠け、釉薬のムラなどの問題がないか細かくチェックします。一つひとつ手に取って、見た目や手触りを確認し、基準を満たしているか検品します。ここまでの工程を経てようやく、作品はお披露目の準備が整います。
13. 作品カードと照合
体験時に書いていただいた作品カードと完成した器を照らし合わせて、どの作品がどなたのものかを確認します。サインや模様、形などをカード情報と比較し、間違いがないよう丁寧に対応します。自分の作った器がちゃんと手元に戻るよう、この照合作業も慎重に行います。
14. 発送 or ギャラリーへ(3週間〜1カ月経過)
完成した器は梱包して発送の準備をします(もしくはギャラリー受け取りの場合は店頭に並べます)。割れ物専用の緩衝材で包み、安全にお届けできるよう厳重に梱包します。発送の場合は住所宛に送り出し、ギャラリー受け取りの場合は連絡のうえお渡し準備完了です。
15. お渡し
ついに、みなさんの元へ器が届きます!手に取って、自分で作った世界に一つだけの器をじっくり眺めてみてください。使ってみると、体験の思い出とともにより一層愛着が湧いてくることでしょう。
こうして、みなさんの器は約3〜4週間の時間をかけて完成していきます。一連の工程を経て届いた器を楽しんでいただき、またいつでも臼杵焼のアトリエに遊びに来てくださいね!